自分の生活圏で手に入るものや見つかるものを基に作品を制作している。
池のほとりで拾った爬虫類のものらしき卵の殻。様々な鳥の羽。やわらかい草、固い草。壊れた食器。ヘビやセミの抜け殻。夕食に食べた魚の骨。空き缶。不用ともみなされうるこれらのありふれたものたちをゴミ箱から、あるいは自然の摂理からとりだし、存えうる何かを作る。この過程を通して私は自然とのつながりという憧憬を見ているのかもしれない。
かつて先住民の人々が狩猟採集生活で手に入る素材のみを使ってものづくりをしていた土地、アラスカを旅した星野道夫はこう書いている。
「カリブー*であれ、ツンドラの木の実であれ、人はその土地に深く関わるほど、そこに生きる他者の生命を、自分自身の中にとりこみたくなるのだろう。そうすることで、よりその土地に属してゆくような気がするのだろう。その行為を止めた時、人の心はその自然から離れていく。」 (1994、Switch 7月号、p.56) *カリブー:北アメリカに生息するトナカイの一種
私が生きる生活圏では他の生命を奪い自らの糧とするやりとりは見えにくい。しかし身近な自然物は私の好奇心をそそり、想像力をかきたてる。自分が自然の一部であると信じるため、私は大いなる自然のささやかな偶像を作る。
November 2013
池のほとりで拾った爬虫類のものらしき卵の殻。様々な鳥の羽。やわらかい草、固い草。壊れた食器。ヘビやセミの抜け殻。夕食に食べた魚の骨。空き缶。不用ともみなされうるこれらのありふれたものたちをゴミ箱から、あるいは自然の摂理からとりだし、存えうる何かを作る。この過程を通して私は自然とのつながりという憧憬を見ているのかもしれない。
かつて先住民の人々が狩猟採集生活で手に入る素材のみを使ってものづくりをしていた土地、アラスカを旅した星野道夫はこう書いている。
「カリブー*であれ、ツンドラの木の実であれ、人はその土地に深く関わるほど、そこに生きる他者の生命を、自分自身の中にとりこみたくなるのだろう。そうすることで、よりその土地に属してゆくような気がするのだろう。その行為を止めた時、人の心はその自然から離れていく。」 (1994、Switch 7月号、p.56) *カリブー:北アメリカに生息するトナカイの一種
私が生きる生活圏では他の生命を奪い自らの糧とするやりとりは見えにくい。しかし身近な自然物は私の好奇心をそそり、想像力をかきたてる。自分が自然の一部であると信じるため、私は大いなる自然のささやかな偶像を作る。
November 2013