「Fictional Toys (Aji Island, Miyagi Prefecture) / 空想玩具シリーズ(宮城県・網地島)」 恵みをもたらす海は時に生活を脅かす。しかし人は古来から海とともに生き、これからも海とともに生きていく。それは人以外の海洋生物と直接関わり、関係を保っていくことでもある。獲ること、食べること、操ること、恐れること、感謝すること——そのひとつひとつの作法が海とともに生き続ける知恵なのだ。東日本大震災の震源地に最も近い宮城県石巻市の網地島は津波の被害を最初に受けた。島に暮らす元漁師の古老は様々な昔話を教えてくれた。それらはすでに過去のものであるが、海を分かちあった多様な生き物との体験談は海に生きる知恵そのものであった。記憶の中に留められたその思想にかたちをもたらすことはできないだろうか。世界各地の玩具には、漁や猟の作法を小さな遊びから教えるものがある。残された玩具がその土地の世界観を語り継いでいくこともあるだろう。網地島で営まれたかつての海の暮らしを伝える玩具を想定し、未来に向けて作ろうと考えた。
These are Imaginational toys that demonstrate actual fishing techniques and knowledges passed down in the communities I visited. For example, an old former fisherman whom I met on Aji Island of Miyagi Prefecture, in the closest area to the seismic center of the Great East Japan Earthquake of 2011, told me his great knowledge on how he caught fish and handled sea creatures. I gave his stories a form as toy to pass down the knowledge.